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(第11回) サプリメント1

6:48 PM

■フットボール選手のための栄養講座:サプリメント1
○サプリメントって何?!
「サプリメント」の語源は、「補足」「追加」「おまけ」などを意味する英語「supplement」から来ています。この言葉どおり、サプリメントは“足りない栄養素を補う食品”を指し、日本では「栄養補助食品」とも呼ばれています。

(1)サプリメントとは

人間が健康的に生きていくためには、必要な栄養素を毎日十分に摂れているかどうかがカギになります。毎日の食事をバランス良くきちんと摂り、栄養素を不足なく摂取していれば、サプリメントは必要ありません。したがって、栄養摂取の基本となるのは、何はともあれまず「食事」。食事こそ、日々の栄養摂取の基礎となります。

とはいえ、食事だけで完璧な栄養摂取をめざすには、相当な自己管理が必要です。忙しかったり、食欲が無かったりすると、どうしても栄養が偏ったり不足してしまいがちですし、さらにフットボールやトレーニングをしている人は、運動をしていない人よりもたくさんの栄養が必要になります。「毎日食事に気を遣っているからサプリメントは必要ない」と思っている人もいるかもしれませんが、バランスよく食事を摂っているつもりでも、実はひとつひとつの栄養素を見てみると、必要な量を満たしていないこともあり得ます。

そこで、足りない栄養素を上手に補給できるサプリメントの出番となります。サプリメントは、さまざまな食品から必要な栄養素だけを抽出して凝縮したものです。普段の食品よりも効率よく摂取することができ、足りない栄養素を簡単に補うことができます。

(2)サプリメントのもうひとつの意味
サプリメントはもうひとつ大切な意味を持っています。それは、「競技力を高める戦略的な補助食品」であるという点です。栄養素には、カラダをつくる材料になったり、スタミナのもとになったりと、さまざまな働きがあります。その働きに着目して、より競技力向上に役立てようというのが、サプリメントのもうひとつの側面です。

例えばフットボール選手は、勝つために、「もっと瞬発力を高めたい」「スタミナ・持久力をつけたい」「筋肉をつけたい」などの目標があると思います。そのような目標を効率よく達成するために、サプリメントを利用するのです。ただ栄養を補助するだけでなく、どのサプリメントをどのような目的で、いつ、どれくらい摂取するかによって、サプリメントは戦略的な補助食品にもなるというわけです。
日本ではこれもサプリメントと呼んでひとくくりにしていますが、アメリカではこのような目的で開発されたスポーツフーズのことを「エルゴジェニック」と呼んでいます。エルゴジェニックの代表的なものとしては、クレアチンやBCAA(分岐鎖アミノ酸)などが挙げられます。

「単なる食事」「単なる栄養補助食品」と考えている人もいるかもしれませんが、栄養の摂取によって、カラダづくりや運動能力に大きな差が出てきます。「筋力をつけたい」「持久力が欲しい」などの目標が定まったら、そのためにどんなトレーニングをし、どんな食事をするのか、それによって摂るサプリメントの内容も違ってきます。トレーニングのレベルや食事内容に合わせて、不足していると思われる栄養素を補うことを目的にサプリメントを選び、上手に活用しましょう。

(3)注意する点
栄養素には、必要以上に摂取すると、カラダに悪影響をもたらすものがありますので、サプリメントを摂る時は、過剰摂取とならないように十分注意しましょう。例えば、脂溶性のビタミンAでは、過剰摂取すると体内へ蓄積し、肝障害、吐き気、頭痛、めまいなどの過剰症を引き起こします。また、カルシウムなどミネラルの過剰摂取は、体内に結石を作る原因となります。このように、安全と思われがちなビタミンやミネラルでも、過剰摂取が健康を害することもありますので、サプリメントの利用にあたっては、十分に注意をしましょう。

またサプリメントを摂取する際に注意しなければならないのがドーピング違反です。ドーピング違反は選手にとって選手生命をも危うくする場合があり、いかなるサプリメント摂取においても常にドーピングのことを念頭においた慎重な対応が必要です。日本アンチ・ドーピング機構(JADA)の公式認定商品であれば、禁止物質に指定されるようなものは使用していないことが保証され安心ですので、JADAマークのついた商品を選びましょう。耳慣れない製品、インターネットや海外で購入した製品の場合は、同じような名称であったとしても中身がはっきりわかるまでは安心できません。もし不安な場合は、信頼するドクターや栄養指導者にアドバイスを求めると良いでしょう。

○カラダづくりに役立つサプリメント
カラダづくりのためのサプリメントとして、筆頭にあげられるのが「プロテイン」です。プロテインというと、「筋肉マッチョ」や「ムキムキ」を想像する人も多いようですが、実はそれは大きな誤解です。プロテインを上手に活用してカラダづくりに役立てましょう。

■プロテインの種類
■効果的な摂取タイミング
■摂取量の目安
■摂取期間
■ザバス商品

■プロテインの種類
「プロテイン」とは、英語で「たんぱく質」そのものを指し、語源はギリシャ語の「プロティオス」で【一番大切なもの】という意味です。たんぱく質は、カラダを構成している骨や筋肉、血液の材料となるほか、毛髪、爪、皮膚、ホルモンなどに欠かせない栄養素です。

こうしたたんぱく質を補給するためのスポーツサプリメントとしては、大きく分けて2種類のタイプがあり、主に原材料が「動物性」のものと「植物性」のものに分けられます。動物性の代表は牛乳を原材料とした「カゼインプロテイン」と「ホエイプロテイン」、植物性は大豆を原材料とした「ソイプロテイン」です。

また原材料以外でも、たんぱく質含有率が80~90%と高い高配合タイプ、たんぱく質含有率を抑えてカルシウムや鉄・ビタミン・炭水化物(糖質)などの栄養素をバランス良く配合したタイプなどがあります。

フットボール選手は一般人の約2倍のたんぱく質が必要なため、3食しっかり食べていてもなかなか必要量に満たないのが現状です。また食事から多く摂ろうとすると、余分な脂質まで摂りすぎてしまうことにもなりかねません。プロテインなら良質なたんぱく質を効率よく手軽に補給でき、カラダづくりに効果的です。

<ホエイプロテイン>
「ホエイ」とは牛乳に含まれるたんぱく質の1つで、乳清たんぱく質と呼ばれるものです。身近なところでは、ヨーグルトの上澄み液やホットミルクの表面にできる膜などの中に含まれています。筋肉のエネルギー源となるBCAA(分岐鎖アミノ酸)が豊富で、免疫機能を高めるなどの働きを持ち、また消化・吸収が早く体内での利用効率に優れています。

昔は動物性たんぱく質というと、「カゼイン」が主流でしたが、最近は機能性の高さから「ホエイ」を使用した製品が多く出されています。
筋肉を大きくすることを主な目的とする場合は、ホエイプロテインがおススメです。

<ソイプロテイン>
「ソイ」とは大豆を原材料にした植物性のプロテインです。大豆たんぱくには、血中コレステロール値・中性脂肪を低下させる働きや、抗酸化作用(大豆に含まれるイソフラボン)などがあり、「大豆たんぱくの健康効果」として注目されています。また、大豆たんぱくには、脂肪燃焼効果が数多く報告されており、ウェイトコントロールが必要なフットボール選手にも適しています。

■効果的な摂取タイミング
プロテインの摂取タイミングは、食事後、運動後(30分以内)、おやすみ前(1時間前くらい)がおススメです。

食事の後に飲む理由は、栄養補給でもっとも大切な食事と合わせることにより、食事のたんぱく質をきちんと補完するためです。特に朝食は「おかず」が不足しやすいため、朝食後にプロテインを飲むことで朝から十分なたんぱく質を摂ることができます。

運動後は、成長ホルモンの分泌が活発になり、運動でうけた筋肉のダメージを修復しようと体内のたんぱく合成が盛んになります。そのため筋肉の再生も早く、カラダづくりが効果的に行われるからです。

そして、筋肉をはじめとするカラダのさまざまな組織は寝ている間に成長ホルモンが分泌されて、修復したり成長したりしますので、睡眠時間の確保とともに、おやすみ前(1時間前くらい)に飲むのも良いタイミングです。

■摂取量の目安
一般的には、1回大さじすりきり2~3杯(約14~21g)を300~500ml程度の牛乳や水で溶かして飲みます。

たんぱく質は、一度に吸収できる量には限りがありますので、摂取量は一度につき大さじすりきり3杯くらいまでが限度でしょう。カラダに負担をかけないためにも、たんぱく質は“分けて摂る”ようにしましょう。

なお、たんぱく質は過剰に摂取すると、肝臓や腎臓に負担をかけることになりますので、肝臓や腎臓に疾患がある方は使用にあたって必ず医師にご相談ください。

■摂取期間
その人の体格や食生活、トレーニング等によって個人差はありますが、最低でも3ヶ月は継続してみてください。

ただし、プロテインを摂るだけでは筋力アップにはつながりません。あくまでもプロテインは食事の不足分を補うもので、食事という土台がなければ本末転倒です。筋力アップにはトレーニングと、その効果を後押しする適切な休養と栄養が必要です。カラダづくりは一朝一夕に成し遂げられるものではなく、「運動・栄養・休養」の3つをバランス良く継続的に実践しましょう。

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