• 小
  • 中
  • 大

栄養・健康管理

(第12回) サプリメント2

■フットボール選手のための栄養講座:サプリメント2
○コンディション調整のサプリメント
日々ハードな練習をこなしていくためにも、試合で自分の力を最大限発揮するためにも、体調管理は欠かせません。日頃不足しやすいビタミンやミネラル、またアミノ酸を味方につけてベストコンディションを整えていきましょう。
■ビタミン
■鉄
■カルシウム
■アミノ酸

■ビタミン
コンディションを整える栄養素の筆頭はビタミンC・B1・B2といった水溶性ビタミンです。水溶性ビタミンは、一度に大量に摂っても、余った分は体内に蓄えられず排泄されるのが特徴です。また、フットボール選手のビタミンの必要量は、一般人の2倍程度といわれていますが、ビタミンの豊富な野菜や果物を毎食数人前ずつ食べるのは、日頃から栄養に気を遣っている選手でも困難です。

水溶性ビタミンは、蓄積ができないため毎食コンスタントに摂る必要がありますが、一方食事だけで必要量を満たすのは難しいため、サプリメントを常備しておくと便利でしょう。

 

■鉄
鉄は、選手の敵ともいえる貧血に関わる血液中の「ヘモグロビン」の材料として働いています。ヘモグロビンが少ない状態=「貧血」になると、カラダのすみずみまで酸素が行き渡らず、同じ練習をしても息が上がったり、ついて行けなくなるなど、スタミナ低下につながります。
そうならないためにも、普段の食事から意識して摂ってほしい栄養素ですが、鉄を多く含む食品の筆頭「レバー」は好き嫌いが分かれやすいですし、また鉄は全般的に吸収率が低いため、十分な量を摂りにくい栄養素ですので、サプリメントの役割が大きな意味を持つ栄養素といえます。

■カルシウム
カルシウムと聞くと、「骨の栄養」と思う人が多いと思います。実際、カルシウムは99%が骨や歯などに蓄積されていますが、残り1%は、筋肉の収縮や神経の伝達などといった選手のパフォーマンスやコンディション維持に重要な役割を果たしています。例えば、試合前後の興奮状態や、神経過敏になりイライラするなどの神経の高揚を鎮め、安定させる働きがあります。
また、発汗量が増えてくると、汗からのカルシウム損失が多くなるため、積極的に摂って欲しい栄養素です。食事では、カルシウムの宝庫である乳製品を積極的に摂り、不足するようならサプリメントも活用しましょう。

 

■アミノ酸
アミノ酸とは、たんぱく質を構成する最小単位で20種類あります。
そのうち、ヒトが体内で合成できないものを「必須アミノ酸」または「不可欠アミノ酸」といい、バリン、スレオニン、トリプトファン、フェニルアラニン、リジン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、ヒスチジンの9種類があります。
これらは食品から摂取することが不可欠であるため、必須アミノ酸バランスの良い、いわゆる良質のたんぱく質を摂ることが筋肉を作る上で大切です。フットボール選手の筋力向上のためには運動直後のたんぱく質摂取が有効であるとされていますが、たんぱく質のような高分子化合物では消化吸収に時間を要します。そこで、運動後速やかに利用することを目的とするなら、たんぱく質が分解された形の遊離型のアミノ酸を活用することでリカバリーを早めることが期待されます。また、アミノ酸の働きとして、筋たんぱくの分解の抑制、中枢性疲労の抑制などもあることから、運動前に摂取することもおすすめです。

○エネルギー補給のためのサプリメント
フットボール選手にとって、欠かすことのできないエネルギー源。サプリメントならではの「運動シーンでも摂取しやすい形状」や「吸収の良さ」を有効活用しましょう。

■エネルギーゼリー
■エネルギードリンクとブドウ糖タブレット
■マルトデキストリン
■クレアチン

■エネルギーゼリー
ごはんや麺類をよく食べる日本人の食事は炭水化物(糖質)の比率が高いので、3食きちんと食べていれば日常的にはエネルギー不足になることはありません。しかし、試合前で体内にしっかりグリコーゲンを貯め込みたい時は別です。例えばグリコーゲンローディングをする場合、ごはんなどの炭水化物(糖質)を普段の2倍くらい食べなければ効果が上がりませんが、食の細い選手にはきつい場合もあると思います。そんな時に役立つのがエネルギーゼリーです。炭水化物(糖質)を多めにした食事に、エネルギーゼリーを組み合わせて補給すれば、グリコーゲンはがっちり確保できます。
また、吸収効率の優れた「マルトデキストリン」を主成分としているものは、試合前やハーフタイムでの追加補給にも最適です。

■エネルギードリンクとブドウ糖タブレット
試合中は筋グリコーゲンが低下する一方なので、競技時間が長時間におよぶ場合は途中でエネルギー源を摂取する必要があります。そこで、消化・吸収が速く即効性の期待できるサプリメントの出番です。
試合中は、吸収性とエネルギー源確保に最適なマルトデキストリン(エネルギードリンク)と、即効性のエネルギー源であるグルコースそのもの(ブドウ糖タブレット)が、ベストなエネルギー源と考えて良いでしょう。試合時間やインターバルなど自分の競技の特徴に合わせて、うまく使い分けましょう。

■マルトデキストリン
マルトデキストリンとは、デンプン分解酵素(アミラーゼ)によって、ブドウ糖が数個結合した状態にまで分解されたトウモロコシのデンプン(コーンスターチ)の分解物です。
ブドウ糖のような単糖類や、砂糖のような二糖類に比べて分子が大きいため、水に比較的多量に溶かしても、その浸透圧を低く抑えることができます。そのため、胃から腸への移行と腸からの吸収が速く、運動前やハーフタイムなど時間の無い時に糖質をまとめて摂取できるのが特徴です。また、運動直後に摂取すると、筋グリコーゲンの素早い回復に効果があります。
ゼリーや液体の形態でのサプリメントとして商品化されています。

■クレアチン
クレアチンとは、主に筋肉中に存在するエネルギー供給物質です。肉や魚などに含まれ、また肝臓でアルギニン・グリシンの2種のアミノ酸によって合成されます。短時間に大きな力を使う瞬発系の運動では、筋肉中にあるクレアチンリン酸とアデノシン三リン酸(ATP)がエネルギーを生み出します。

しかし、クレアチンリン酸もアデノシン三リン酸(ATP)もごくわずかな量しかないので、このエネルギー供給は10秒弱しか続きません。そこで、筋肉中のクレアチンリン酸の量を強制的に増やして瞬発力を強化するために開発されたのが、クレアチンです。効果は、瞬発力のアップ、乳酸の抑制、瞬発力の持続的発揮の3つが挙げられます。
クレアチンの摂取方法は、コンディションをピークに持っていきたい日から逆算して、約3週間前から『クレアチンローディング』を開始するのが基本です。最初の6日間〔ローディング期〕は、1日5gを4回(毎食後+トレーニング後)に分けて摂取し、筋肉中にクレアチンを貯め込みます。その後の約2週間は貯蔵量を維持していく期間〔メンテナンス期〕として1日5gの摂取を続けます。
クレアチンローディングの効果として、カラダはよく動くのですが、その分筋肉にかかる負担も大きくなりますから、肉離れやケイレンなどリスクを背負うことが無いように、カラダのケアはもちろん、ウォーミングアップやクールダウンを念入りにし、水分補給もきちんとし、栄養バランスよくしっかり食事を摂る、ということが前提となります。大事な大会に向けて取り入れる場合は、事前に一度シミュレーションを行うことをおススメします。

○ケガの予防と回復に有効なサプリメント
フットボール選手にとって、ケガは絶対避けたいところですよね。日頃の体調管理や筋力、骨、腱やじん帯の強化を意識することが、ケガを予防したり、大きなケガを軽症ですませたりすることにつながります。食事から摂取しにくい栄養素はサプリメントを活用しましょう。
■カルシウム
■コラーゲン
■コンドロイチン
■グルコサミン

■カルシウム
ケガが骨折など骨の損傷をともなっているときは、当然骨の材料になるカルシウムの補給が大切ですし、たんぱく質の補給も同じ理由で欠かせません。食事でカルシウムとたんぱく質を合わせて補給する最も簡単な方法は、牛乳、ヨーグルト、チーズといった乳製品をたくさん食べることです。でも、十分な運動ができないケガの回復期だと、体脂肪の増加が心配ですから、こんな時こそサプリメントを活用しましょう。

 

■コラーゲン
コラーゲンというと美容のための栄養と思う人が多いのではないでしょうか。その成分のほとんどはたんぱく質で、人の体内に存在しているコラーゲンの量は、全たんぱく質のほぼ30%を占めています。コラーゲンは細胞と細胞を繋ぎとめる役割をしていますので、コラーゲンの摂取は肌の美容のために有効です。
でも、コラーゲンの働きは美容だけではありません。人体の中で、骨、関節、腱、じん帯など結合組織の材料となります。骨の材料としてカルシウムがよく知られていますが、骨というのはコラーゲンの網目の中にカルシウムが入って形成されています。ですから、骨の材料となり、関節の動きをスムーズにする働きのコラーゲンは、骨折・捻挫・アキレス腱のケガの予防や回復などに効果的です。
コラーゲンは食事に含まれるたんぱく質から体内で合成されますが、コラーゲン自体を積極的に摂ればより体内のコラーゲン合成が高まります。コラーゲンを多く含む食品は鶏の手羽やふかひれなどですが、これらを毎日食べるのは難しいため、十分な量を継続して確保するにはサプリメントを使用するのがおススメです。さらに、体内のコラーゲン合成に不可欠なビタミンCも合わせて積極的に摂りましょう。

■コンドロイチン
コンドロイチンは、軟骨、骨、角膜、皮膚、血管壁に存在する粘着物質で、細胞や組織同士を結合させる働きを持っています。また、細胞や組織の保水性、弾力性、円滑性を保つ作用があり、関節などにかかる衝撃を吸収するという重要な役割を担っており、フットボール選手にとってはケガの予防や回復のために効果的です。
鶏の皮、牛の軟骨、魚の目玉、山芋、オクラなどの食品に含まれていますが、日々の食事では摂取しにくい栄養成分ですので、効率良く摂取するためにはサプリメントの活用をおススメします。

 

■グルコサミン
グルコサミンはグルコースとアミノ酸からつくられるアミノ単糖であり、軟骨の構成成分として関節に広く存在し、関節部分において重要な役割を担っています。コンドロイチン同様、関節の衝撃吸収力や関節痛軽減に効果があるといわれています。
エビやカニの殻、イカ、ウナギなどの食品に含まれていますが、コンドロイチン同様日々の食事では摂取しにくい栄養成分です。軟骨が摩擦を起こす関節炎などの軽減、その回復にはサプリメントを活用することをおススメします。
ただし、グルコサミンは甲殻類由来であることが多いので、アレルギーをお持ちの方は使用について必ず医師にご相談ください。