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International Bowl 2017 Report -Day6-

2:15 PM

6日目(1月16日):DAY6 INTERNATIONAL BOWL U-18 JAPAN vs U-17 USA

試合記録はこちら(主催者発表)

試合当日の午前中はオフェンス、ディフェンスに分かれてMTGが行われました。オフェンスのMTGは試合で予想されるプレイに対する対策がほとんどでした。MTGの最初にオフェンスコーディネーターのライアンコーチがかなり強い口調で選手たちに伝えた内容があります。「私は本当に腹が立っている!なぜなら彼らは私たちが今までの練習でやっていないフォーメーションのディフェンスをやってくるんだ。彼らは先日のジャンボリー(スクリメージ)で君たちから悔しい思いを受けた。だからどうしても君たちに勝ちたいと考えているのだと思う。この挑戦に対し、私たちは必ず立ち向かおう!」つまりはチームUSAがなりふり構わず勝負をしてくるという意味です。本気になったチームUSAに対してチームJAPANがどういった気持ちを持って戦いに挑めるかが大切になります。

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 MTG後は出発時間まで各自で過ごし、その後バスに乗りNFLダラス・カウボーイズのホームでもあるAT&Tスタジアムに向かいました。スタジアムに到着して最初に感じたことは、改めてアメリカのNo. 1スポーツがアメリカンフットボールであると云うことでした。全てを飲み込んでしまいそうな感覚のあるAT&Tスタジアムに選手たちは圧倒されていました。コーチ陣が口を揃えて言っていた「スタジアムの雰囲気に飲み込まれないようにしなさい。」と云う意味が直ぐにわかりました。いつもの感覚とは絶対に違う高い興奮状態になる選手や言葉数が減ってしまう選手もいたと思います。日本の高校生がこのスタジアムで試合が出来ることは、彼らにとって忘れられない思い出になっていることだと思います。が、同時にチームJAPANとしての戦いであること、対戦相手がチームUSAであること、そしてAT&Tスタジアムでの試合であること。これらが彼らのメンタル面のコントロールをより難しくしていた要因であったと考えます。

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試合開始の30分ほど前からチームJAPANの選手たちがウォーミングアップに入り、彼らのモチベーションもかなり高まってきていました。しかし、驚いたことにチームUSAが既にウォーミングアップを終わらせ、試合前練習が行われていました。チームJAPANは試合前の練習に入るのが遅かったと云うわけではなく、試合前練習が長ければいいと云うことでもありません。彼らのこの試合に対する気持ちの現れが行動に出たのだと思いますが、かなり高いレベルの集中が選手、コーチ、スタッフの全員から感じました。

両チームのスターティングメンバーが発表され、互いにサイドラインに整列をし、両国の国歌が斉唱され、興奮も絶頂になったところで、ついにキックオフのホイッスルが鳴り、試合が始まりました。前半リータンを選択し、チームJAPANのオフェンスから攻撃が始まりました。チームUSAは最初からブリッツなどを使いアグレッシブなディフェンスパターンでチームJAPANに襲い掛かります。チームJAPANもスクリーンパスやクォーターバックが左右に流れてからのパス攻撃、完成度の高くなっているランプレイを使って健闘しますがあと少しのところで止められてしまいます。ここでディフェンスになんとか堪えてもらいたいところですが、チームUSAのワイドレシーバー陣がロングパスなどを成功させ、そのままエンドゾーンまで運ばれてしまう展開が多く、なかなか踏ん張る事ができません。そのまま前半が終了し、スコアを見ると既に0−35というかなり一方的な展開になっていました。

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ハーフタイム、選手全員でローカールームに戻りました。選手たちも誰一人として納得のできるプレイが出来てないといった表情を浮かべていました。そこにトーマスヘッドコーチからの激しい撃がとびます。「もっと積極的に思い切りを持って戦うべきだ。このまま日本に帰るな。お前たちが思い切って自分のやるべきことをすれば必ず成功が待っている。自分たちにもっとプライドを持って恐れずに戦いなさい。それが後半に出来るかどうかにかかっている」。この言葉のとおり、彼らの後半の戦い方は日本の高校生の代表としてここに来ていることの誇りを持ってプレイ出来ていました。結果、オフェンスもしっかりとドライブ出来るようになり、クォーターバックからロングパスがワイドレシーバーに決まり、ついにタッチダウンに成功しました。さらにディフェンスは後半に入ってからはフィールドゴールの3点のみに抑えることができました。もちろんチームUSAのメンバーは2ndメンバーが多く試合に出場していたことは事実ですが、それでもチームUSAを相手に、彼らの気持ち次第で勝負できる事が分かってくれたと思います。

最終スコアは7–44と残念な結果でした。今大会を振り返り、彼らだけでなく私たち日本の高校の指導者にとっても非常に刺激を受けた大会となりました。引き続き来年度もこの様な大会に参加出来るように、また、もっとたくさんの高校からの出場希望者が出ることを心から希望しています。

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【 小川 道洋 (箕面自由学園高等学校) 】